何もできなくて本当にごめんなさい!「訴える」から始めます。
衝撃の侵攻のニュースから、もうすぐ2カ月になります。連日テレビによる現状報告を見聞きする度に、こんな理不尽な目に遭っている方々に何もできなくて申し訳なく思います。
「何もしていないのに、私達が何故こんな目に遭うのか」と語っていた現地の方々、本当にその通りです。こんな理不尽なことありません。
武力侵攻。なぜこの方法を選択したのか?その前に出来ることが沢山あったでしょうに…
こんな苛立ちも身近な人に愚痴ることしかできない。日本にいて、平和な場所で「ひどいよね」とつぶやくことしかできない。辛うじて寄付で協力をしても庶民の金額なので、どのくらいの助けになっているのか・・・微力で申し訳ない。
もちろん、理不尽な目に遭っている人は他にもたくさんいる。全部に救いの手を伸ばすことはできないと知っている。過去に侵攻された国の時は何をしたんだと言われたらそれまで…
でも、今・・・。歳を重ねて、子供を育てて・・・いま!だから思うし、痛み方が違う。
何か出来る事。大切な子供達を守ること。
思い付いたことは訴えることでした。
せっかくブログを立ち上げて、好きな漫画の紹介しているんだから、漫画を利用して訴えてみようと思います。
戦争について知る事。
戦争を回避することを知る事。
そもそもの人間を知る事。
おばオタのオタク人生の中で平和を考えるきっかけになりそうなマンガを3作品紹介します。
まだ読んだ事ない方、良かったら一度目を通してみてください。
それが平和について改めて考えるきっかけになれば幸いです。
1.まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
「戦争」を理論的に教えてくれる~もともとは2チャンネルのコメント投稿形式小説~
魔王と勇者が出会ったその時、物語が動き出す――!ネット発の新たな天才・橙乃ままれが描いたまったく新しいファンタジーがここにコミックとして登場。あの魔王が、あの勇者が新たな物語を歩み出す!!
引用:ebookjapanより
【まおゆう魔王勇者】コミカライズ
著:石田あきら
原作:橙乃ままれ
監修:桝田省治
キャラクター原案:水玉螢之丞・ toi8
出版社:KADOKAWA
完結済み:全18巻
紙版:各定価:本体580円+税
まだ「小説家になろう」がメジャーではない時代、2チャンネルの掲示板を使って会話形式でストーリーを進めていくお話でした。RPGでお約束の「この我のものになれ、勇者よ」「断る!」から始まる会話劇が、最初は勇者と魔王の性別が、どちらが男か女か分からず掲示板のスレで盛り上がっていたのも懐かしいです。
この作品はアニメ化もされ、コミカライズも多数の出版社から発売されていますので、作家さんの公式HPでお好みの絵柄を選ぶのもよろしいかと…
ただ、おばオタは「石田あきら著」作品を購入しましたので、こちらをご紹介します。
併せて原作小説も読まれるとより理解が深まりますよ~「魔王」「勇者」のイチャイチャも小説のほうが濃厚だと思うし~。おばオタの購入した時代は電子書籍版がありませんでしたが、現在は電子書籍版もあり、そちらのほうが価格が安いみたいです。ちなみに、おばオタご用達の電子書籍購入サイト「ebook japan」 では942円(税込)でした。まじか!
【まおゆう魔王勇者】小説
原作:橙乃ままれ
カバーイラスト:toi8
キャラクター原案:水玉螢之丞
発行:エンターブレイン
完結済み:全5巻
紙版:定価:本体1200円+税
(※エピソード0~2あり)
ちなみに2チャン時代の作品もまだありました。検索で見つかると思いますので、無料で内容が知りたい方は覗いてみてください。読者のコメントも入っているので、読みづらいかもですが…
この作品は、ともかく「戦争」について教えてくれます。冒頭「魔王」が「勇者」を「丘の向こうの景色」を共に見に行こうと勧誘する時、「戦争」の必要性を経済的側面から講釈する場面は勉強になりますよ。その上で「戦争」に頼る生存方法ではない景色。「丘の向こう」と例えている(奪い合うではなく)共存し発展していく世界を実現するために模索・行動していくお話です。
最終的に「戦争」の終結を導いたのは「勇者」でも「魔王」でもなく、人間でした。それも「農奴」という最底辺の階層の人種とされる人間が立ち上がり、領主や王を巻き込んで人間と魔族の「戦争」を止めました。「勇者」「魔王」はもっと別の次元のものと戦っていましたので、後半は2場面での展開となっています。
この話は途中から主人公が増えていく感じのするお話です。全ての人が特別な存在です。学んで動けばですが…。
この話を読むと如何に教育が大切か、その教育も偏りのない「知識」が大切か、という事がよく解ります。ちっぽけな「虫」が「人間」になって、自分が感じていた「苦痛」を他者に与えない社会を築くためにどうすればいいか考え、負の連鎖を断ち切るために「停戦」を勝ち取る姿に感動しました。
「戦争」による人間の損失は害にしかなり得ません。将来人類の未来を画期的に変える「知識」を発見できたかもしれない人が亡くなってしまったかもしれません。「可能性」が失われてしまうのです。
公害問題も人口増加問題も宇宙開発も、ぶつかって模索して嫌なことがあっても、生きて関わりあって話して考えて考えて考えて、それでなければ、より良い未来は掴み取れないと思います。
正解なんて誰にも分らないから、だからこそ『可能性』である『命』を無為に奪うことは絶対に許されない行為だと思います。
2.アシガール
「戦国時代」にタイムスリップ。戦争が日常の時代で命が一番大事を言い切った漫画
『ごくせん』の森本梢子作。戦国時代にタイムスリップし足軽となった女子高生のラブコメディ。2012年より「ココハナ」にて連載。2017年NHKにて実写ドラマ化。
引用:ebookjapanより
【アシガール】女性マンガ
著:森本梢子
連載誌/レーベル:ココハナ
出版社:集英社
完結済み:全16巻
紙版:484円(税込)
最終巻のみ:550円(税込)
ラブコメではありますが、戦いを避けられない時代で大切な人の命を守る方法を教えてくれる漫画です。戦国の時代にタイムスリップした現代人、しかも女子高生が走り回ります。文字通り走り回る…足が速いだけが取り柄という女子が足軽になって頑張ります。
なにしろコメディなので、ご都合主義的展開が多いことは否めません。でも戦争が日常の時代で、結果がわかっている過去にどうやって生き残っていくか、戦いを避けるためにどう立ち回るか…面白い着眼点がいっぱいあります。
たとえば引退した当主を引っ張り出して耳が遠いふうを装い、交渉をうやむやにしてしまうところなど、かなり無理がある展開ですが、要は人材の使い方だと思えば納得できないこともありません。また、城を捨てて逃げる事、極めつけは名を捨て別の家紋に下る事、これは戦国時代の人間ならば「絶対」に許容できない行為でしょうが、大切な人「全て」が生き残ることのほうが「絶対」に必要と訴えた女子高生の言葉に従った当主の決断。これは命を守るためなら、矜持(プライド)を捨ててでもということを教えてくれます。
「大切」を守る方法は、暴力以外でも色々あるんだと気付かされます。
思えば私たちのご先祖様は、戦国の時代を本当に経験されてきたわけです。あの時代に生まれていたご先祖様達は否応なく戦いに参加していたわけです。このマンガを読むと、戦いたくなかった武将が実際に沢山いたんだろうな…と思います。大切なものを守るために戦わないわけにいかなかった時代があったわけです。この時代の人間に戦争は悪だと訴えても響きはしないでしょう。生存するためには必要だったのです。その建前を前提にして私達は何度も戦争を繰り返してきました。でも全く同じではないのです。螺旋階段を登るように戦争という行為の景色は少しずつ変わっています。階段を登れば登るほど、見える景色が広がって大きくなっていきました。規模が世界になり、大規模破壊兵器により大量の人間が亡くなりました。
螺旋階段を登った景色は戦争だけではなく、平和の景色も変えました。
経験という段差を登って、今、私達は反戦国家として成立しています。今ある平和は過去の戦争の経験を知識として身に着け、戦争という行為の結果が割に合わないと「知る」ことが出来たためです。
なのに、いまだに割りに合わない行為をする国がある。
国の元首が過去の経験をどう学んで侵攻という決断にいたり、自国の兵士に武器を持たせているのか?命を奪いに行かせているのか?
元首として国に必要と考えて決断した事なのでしょうが、この方法しかなかったのでしょうか?
過去大戦の敗戦国で暮らしているおばちゃんには理解できません。もうさすがに止めましょうよ。
3.地球生まれのあなたへ
多様な人と人との繋がり方~冲方丁原作の実話を基にしたショートストーリー~
【地球生まれのあなたへ】
女性マンガ
著:馬瀬あずさ
原作:冲方丁(ウブカタ トウ)
連載誌/レーベル:デザート
出版社:講談社
完結済み:全1巻
紙版:定価:493円(本体448円)
あの震災の直後に、マキオは郵便配達の仕事を再開した。数日後、彼のもとに届いた「もういない妻」からのバースデープレゼント。「僕は君を愛し抜けていたのだろうか」……若き夫婦の愛が胸を打つ表題作ほか、冲方丁が実話をもとに綴った「泣ける」ストーリーを原作に、期待の新鋭が描いた感動の6編。(収録作品)●先にいきます●地球生まれのあなたへ●教師とTシャツ●音楽と十円ハゲ●仁義の人●タクシーと指輪
引用:ebookjapanより
こちらのお話は、正直戦争とは関係ありません。でも、戦争を起こす人間の一面を知る上で参考になるかもと取り上げました。
原作は冲方丁先生の「もらいなき」という作品を漫画化したものだそうです。原作は実話をもとに書かれた短編集だそうで、おばオタはまだ読んでいません。いや、漫画だけで泣けるので原作は涙で読めないだろうなと手が出せません。切なくて…
この作品のタイトルになっている「地球生まれのあなたへ」は本書内2本目の作品ですが、そちらより1本目の「先にいきます」を今回特に紹介したいです。
このお話は駅の掲示板に書かれたメッセージに色々な人が返信して、一人の人が救われた、それが切っ掛けで関わった人の心境を変えたお話です。
特に、人が集まるところが不快で仕方がない、と思っていた語り手の女子高生の心の変化。
ある駅の職員を嫌っていたのですが、掲示板を通して関わりを持つようになり、その駅員さんの別の一面を見て、嫌いではなくなる。というか、嫌っていてごめんなさいと謝ってしまうんですよね。昔あなたを嫌っていました…と。
人はそれぞれ別の意思を持って存在しています。それはどうしたって衝突し、争う原因になります。でも人は、「人間」は、知ることによって変わることができます。「人間」は情を感じることが出来て、思いを伝える知識があって、手段を持っている。
自殺を示唆するメッセージが書かれた駅の掲示板に、見知らぬ人が救いになるようなメッセージを書き足して、徐々に複数の人の書き込みになり、掲示板いっぱいに沢山の人ががんばれって、死ぬなって、メッセージを残してくれたのです。
それにより一人の人間が救われました。その救われた人を見て、周りの人間の考え方も変わりました。作品の中で「ぶつかるのではなく、上手にすれ違えるようになった…」と表現されてます。
「争い」について考えるとき、摩擦に対して暴力で対応するのは短慮です。まして国家が動く「侵攻」は後戻りが出来ない決断になります。一国の元首の思いだけで決める事ではなく、もっと大勢の人達で話し合う事ではないでしょうか?別の解決方法があったはずです。
この本を読むと「人間」が大切になります。知らない人も大事になります。
本当に大事にしなければいけなことは何なのか…もっと真剣に考えて人間の社会を作っていきたいものです。
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